2017/10/08

風街ガーデンであひませう 2017〈2日目〉

作詞家の松本隆さんのトリビュートライヴ『風街ガーデンであひませう』が10月6日〜8日の3日間行われ、そのうち我らが堀込泰行氏が出演する2日目に行ってきた。
場所は勝手知ったる通勤路、恵比寿ガーデンプレイス。毎日お昼にお弁当を食べている場所の横のホールなので、いつもの場所に特別なものを観に行くのがなんだか不思議な感じ。

入口の“BAR風街”で丁寧に入れていただいたビールを飲み、会場へ。スタンディングだったけど思ったほどぎゅうぎゅでもないので、ゆったり観られてよかった。
まず最初は手嶌葵さんがウイスパーヴォイスで『風の谷のナウシカ』を。
かなり緊張しているらしく、次の曲の歌手名を言おうとしてド忘れしてしまい、思い出した名前が“松田聖子”さんだったので「どんだけ緊張しているんだよ!」とツッコミを入れてしまった。ウイスパーヴォイスの『瑠璃色の地球』もなかなか素敵でした。

曲によってスクリーンに歌詞が映し出されるものがあり、スマホの音楽から歌詞を浮かび上がらせる“リリック・スピーカー” の技術を使っているそう。いろんなフォントが大きく映し出され、ついフォント当てごっこをしてしまうのは職業病だね。

続いて登場したのは藤井隆さん。振り付けつきで、彼の曲『絶望グッドバイ』と、キリンジの堀込高樹作曲の『未確認飛行体』を。
一気に会場が温まり、やっぱり華があるなあ。
もう1曲、高樹作曲の『代官山エレジー』は、なんと堀込ヤスくんが登場し一緒に歌うという奇跡のコラボ!嬉しすぎる♪ 
登場していきなり水を飲み、藤井さんに突っ込まれていた。ハンドマイクで歌うのは慣れていないらしく、 藤井さんに乗せられて「どうも〜、ハンドマイクでーす!」と客席に挨拶していたのが可笑しかった。
別れたバンドの兄貴が作った歌を歌うのって、弟的にはどうなんだろ。ノエルが作ったoasisを歌うリアムみたいな感じ?…なんて思っていたけれど
「こちらは堀込高樹さんの曲ですけどね」
「“T”のほうですね。あっちも陰から応援してくれていると思う」
みたいな会話があり、なんとなくホッとした。
「毎日君だけ見つめて生きてたから胸の切り抜きは君のかたちさ」
という歌詞、何度聞いてもグッとくるなあ。

藤井隆さんがはけて、ヤスくんが南佳孝さんの『スローなブギにしてくれ(I want you)』を。あのシルキィヴォイルで歌われる「ウォンチュ〜」がたまりませんです。ハンドマイクからスタンドマイクになり、若干歌いやすそうだった。
3曲目は“松本さんの歌詞の魅力でもある男のやせ我慢”の代表曲、鈴木茂さんの『砂の女』を。ぐわー、めっちゃ嬉しい!

続いてハナレグミが『キャンディ』と『Tシャツに口紅』を。彼の独特な声で歌われるこの曲も大変魅力的。

ここでついに冨田ラボこと冨田恵一さん登場! 初・冨田ラボ♪
冨田さんが最近レコーディングしたというクミコさんのアルバムのために松本さんが書いた歌を。クミコさん、初めて観たけどとてもキュートなかた。
このあと畠山美由紀さんを呼び込み、横山剣さん作曲の『フローズンダイキリ』という曲を。

畠山美由紀さんは『罌粟(けし)』と『Woman Wの悲劇より』を。風街レジェンド2015の時は吉田美奈子さんがこの曲を情念込めて歌ったのが印象的でだったので、畠山さんにも期待していたのだが、喉の調子が悪かったのか憑依度は少なめだった(だからそういう歌ではない)。

ヤスくん、ハナレグミ、畠山さんといえば『真冬物語』!そうか、これも松本さんの作詞だったんだな。3人はスタジオでカラオケでしか歌ったことがないらしく、生バンドの演奏で初めて歌ったそう。そしてヤスくんはまたハンドマイクでぎこちない(笑)。


ハナレグミさんが残り冨田ラボの王道シティポップス『眠りの森』を。麗しいアレンジと冨田さんのフェンダーローズに酔いしれました。


そしていよいよトリは斉藤由貴さん!鮮やかなグリーンのワンピースで現れた斉藤さんはかなり緊張している様子で、1曲目の『初戀』で声が震え、肩で息をしているのがわかった。
2曲目の『情熱』では、ああ、どうして今この歌を彼女が歌わなくちゃいけないの!と思うような歌詞で、みんな複雑な思いで聞いていたことと思う。
途中で涙声になって歌が声にならない場面もあり、 観ているこちらの胸が張り裂けそうになった。“ただの曲”としてしれっと歌い流すのではなく、心を込めて歌っているから涙が出るのだ。


「言いたいことはいろいろある気もしますが…MCの時間が1分って書いてあったので」
と張り詰めた空気を和ませてくれ、温かい空気が流れた。
何も話さなくていいよ、由貴ちゃん。
ラストの『卒業』を一生懸命歌う斉藤さんを観ていたら、なんだかこちらももらい泣きしてしまった。
『卒業』が流行っていた自分の学生時代のこと、いろいろあってここにたどり着いた人生、そして斉藤さんの人生、いろんなものがオーバーラップしてどんどん涙が出てきて困った。
ふと気がつくと隣の女性も泣いている。後ろの女性も泣いている。たくさんの人が感動した。こんなに人の心を打つ歌を歌えるなんて、彼女は本物のアーティストだと思った。

同じ歌でも時間が経って感じ方が変わってくることもある。
歌ってほんとにすごい。

↓『風街レジェンド2015』のライヴレポはこちら
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