2012/02/29

今の私には重いかもしれない

星野源を聴き続けている。
「エピソード」の前の「ばかのうた」というアルバムと
映画の主題歌にもなった「フィルム」という新曲も買った。
「エピソード」で歌われていた、火葬場や墓参りの歌以外に
どんなテーマを歌っているのか興味があったのだが
旧譜も、新譜も、そこにあったのは相変わらず
「死」や「老い」を歌った曲だった。

「グー」は病気で倒れた男の歌。
入院のあと一時帰宅し
見慣れた天井の下、妻と同じ布団に入って眠る。
でも、妻の寝起きの顔は見れないことを悟っている。
彼はこのまま死んでしまうのだろう。

「落下」は教室や図書室の片隅にいる子の歌。
歌詞に出てくる「なぜに飛ぶのか」という言葉や
「落下」というタイトルから
私が想像つくのはひとつしかない。

ほかにも、生まれてくるはずだった妹の歌「兄妹」とか
死んでしまった人が思うことを歌った「予想」とか
とにかくもう、そんな歌が3曲に1曲ぐらい襲ってくるのだ。

この人、なんでこんなテーマばかり選ぶのだろう???

星野さんや、彼の音楽を聴く若いリスナーは
おそらくまだ「死」や「老い」とは無縁のところにいる。
私だって30代の頃にはそんなこと考えたこともなかった。
しかしだんだんと、子どもの頃から知っている俳優や
大好きだったミュージシャンが亡くなったり
若い有名人の急逝した母親が自分と同世代だったり
死や老いが身近なものとなって迫ってくるようになった。
さらに同居していた家族が3年間に2人も亡くなり
年老いていくだけの母と子孫もいない我が身を思うと
絵空事では済まされない現実があったりする。
直近で火葬場や墓参りを体験している側としては
歌として受け入れるのはちょっとつらいものがある。

彼の音楽を聴いて「癒される」という声が多いけれど
私は全然癒されないのだ(笑)。
むしろ、そっとしておいたかさぶたをはがされるというか
口内炎に塩を塗り込まれるような感じさえする。
初めて聴いたとき頭が痛くなった理由も
きっとそこにあるんだと思う。

道ならぬ恋だったのでしょうか(笑)。
まあ、私が聴かなくてももう売れていく一方だと思うので
(こういう音楽が売れる時代ってすごいね)
今後は今まで通り、温泉とか台風とかを歌ってる兄弟のことを
応援していこうと思う所存であります。
(どうかその兄弟が死や老いの歌を歌いませんように!)
(でもやんわりとなら許す!)

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