2007/10/30

旅の意義

テレビで2泊3日10万円でヨーロッパのアートを見尽くすという特集をやっていました。
リポーターはベッキーちゃん。彼女の明るさとバイタリティにはいつも感服するけど、いやいやいや、いくらかけても2泊3日でヨーロッパのアートを見尽くすなんて無理でしょう!
だって、パリ(ルーブル→オルセー→ヴェルサイユ)→イタリアへ渡ってフィレンツェ→ローマ→ミラノ→スペインに渡ってマドリードって、信じがたい強行軍。
でも、これに近い旅行を以前したことがあるのです。

妹がひょんなことでローマで働くことになり、せっかくだから家族がいるうちにイタリアに旅行しようということになりました。ツアー旅行で日本から母を連れ、現地で妹と合流してイタリア国内を回ったのですが、このときのツアーメイトがなんと40人!どこへ行くにも「巻きで巻きで」とせわしなく、常に追い立てられる旅行でした。「せっかくだから」といろんなところを訪ねるツアーを選んだものだから、どこもサワリだけで、はい次!終わるとまたはい次!といった具合。
とりあえず「これがあの有名な○○」といって記念写真を撮って終わり。一番虚しかったのが、ローマの「真実の口」で40人が次々と口に手を入れて写真を撮る姿…。
旅行って何? 有名なものを見て満足して、帰ってから自慢するためだけのもの??

この旅行で一番印象的だったのは、自由時間で訪れた妹の下宿先でした。重厚な門は昔、馬車が入るように大きなしつらえにしてあって、天井が高く、シャンデリアが下がったとてもすてきなおうちでした。古い家なのでそれなりに大変そうだったけど、すごく羨ましく思いました。
そして、妹がオススメの近所のトラットリアで食べたランチのおいしいことったら!!お魚のグリルだったと記憶してるけど、それまでツアーで連れていかれたどんなレストランよりもホッとできる味だったのです。ああ、こういうガイドブックに載ってない地元の食堂が実は一番おいしいのよね〜。

それ以降私は団体旅行を一切しなくなりました。

好きなものを好きなだけ見られる楽しさ。
もうちょっとこのディテールを見ていたい時間の余裕。
思いついた時に寄り道できる気軽さ。
移動中見つけたおいしそうなお店での買い食い。
ふと見上げた夕日をちょっとだけ眺めていたい気まぐれ。
そういうのが、旅行なんだと思います。

イギリスではほとんどの美術館が無料な上にどれも日本ではあり得ないものすごいコレクションなんだけど、ヨーロッパで様々な美術品を見て飽きてしまったおかげで目的の絵まで他は飛ばしてしまうという贅沢な行動を取ってしまいました。モネ、ルノワール、ゴッホといった超有名な絵を横目で見ながら
「もう、耳切ったぐらいじゃ立ち止まらないよね」
「鼻ぐらい切ってもらわないとね」
と同行の友人と不謹慎な発言をしてしまった私。
ごめんね、ゴッホ。反省してます。

0 件のコメント:

rakuten