2015/07/01

『ラブ&ピース』に泣かされる

園子温監督の『ラブ&ピース』を観に行った。
ずっと気になっていた監督だが一度も観たことがなく
やっと“血しぶき” のない映画だと聞き
大好きな長谷川博己さんと麻生久美子さん主演だし
映画ファーストデーを狙い雨の中観に行ったのだ。 

ダメダメなサラリーマンがある日小さなミドリガメを買い
過去に目指していたロックスターになる夢をカメに語る。
彼の唯一の大切な友達となったカメを
ある日会社に連れて行き見つかってバカにされたことで
気の弱い彼はカメをトイレに流してしまうのだが
カメがたどり着いたのは下水道の中の空間。
そこにはたくさんの捨てられたオモチャやペットと暮らす
謎の老人が住んでいた。
老人の作った不思議な飴をなめたカメは
魔法の力を発揮する。
それは大好きな飼い主の夢を叶える魔法だった。
カメの魔法で飼い主の夢がどんどん叶ってゆき
ロックスターへの道を進んで行くが
大きくなりすぎた夢の先に待っていたものは…。

宣伝で観た、長谷川さんがロックスターになって歌う
ハジけた演技が楽しめるコメディだと思って観に行ったのに
なんかもう途中から涙が止まらなくて
あれ〜?こんな映画だったっけ?という感じ(笑) 。
奇想天外なストーリーと意外な展開といい
エンタメに溢れるユニークな撮影といい
久しぶりに「1秒たりとも退屈だと思わない映画を観た!」
という充実感に包まれた。

ストーリーは長谷川さん演じるロックスターと
下水道の中の老人とおもちゃたちのエピソードの
2つの流れになっているのだが
このおもちゃたちにとにかく泣かされる。
不思議な老人役の西田敏行さんがまためっちゃイイ!
福島弁でなまってるところもいいんだよね〜。
4月に観た『ジヌよさらば』での謎の老人役も良かった。
こういう役こそ“役者の味”をしみじみ感じる。
アメリカだったら故ロビン・ウィリアムズといったところか。

監督が売れない若い頃に書いた脚本だそうで
邪念がない分純粋なストーリーに仕上がっているそう。
元々は忌野清志郎さんに演じてもらいたかったらしく
そう思って観るとまた別の感慨が胸に迫ってくる。
ラストのすんごくいいシーンで
キヨシローのすんごくいい歌が流れ
うわー、ここでこの歌、反則でしょ!
声を出して泣きたいぐらい涙が出てしまった。

映画そのものはもちろんのこと
こういう映画を作る人はきっと心がきれいなんだ
ということにも感動してしまう。
この気持ちはティム・バートンの映画にも通じる。

自由な発想で作られた大人のファンタジー。
見終わった後、すがすがしい気分になれること請け合いです。

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