2011/12/25

道楽

人が亡くなったあと、いろいろな手続きやら何やらやることがいっぱいなのだが、荷物の整理も大変な作業のひとつだ。
父の時は大量の本の処分だけで済んだが、 弟の場合は車、楽器、パソコン、洋服などなど、高価なものがたくさんあったため捨てるわけにもいかず、買い取ってくれる業者をさがして売ることにした。
荷物を整理するとまあこれがほんとに、お金もないくせによくこんな高いものを買ったなお前!とツッコミたくなるようなものばかり。
ワードローブはイギリスの某有名デザイナーのスーツがズラリ、シャツや下着に至るまでそのブランドで揃えられていた。 ねえちゃんはユニクロや無印で過ごしているというのに何なんだこの着道楽っぷりは!

洋服やパソコンなどある程度価値が分かるものならまだしも、釣り道具には困った。
いったいどこまで買い取ってもらえるものやら。有名な釣具店に電話し、すべて送って値段のつかないものは処分してもらえないか相談すると、廃棄にお金がかかるから…と面倒くさそうな返答。こっちこそ面倒くさいよ!だからプロに頼んでるんじゃん!
いっそのこと捨てちゃおうかと思いながら、結局「とりあえず全部送ってみて」と言ってくれた福岡の業者に引き取ってもらった。
査定をもらってびっくり、リール1個に2万円の値段がついたものがあるではないか。捨てなくて良かった…。中古で2万円ってことは新品で…。あーもうっっ!着道楽だけじゃなくて釣道楽もかよ!!

 面白かったのは、押し入れから出てきた大量のキーホルダー。どこかに出かけるたびに買い求めていたのだろう、いろんな観光地のキーホルダーが100個近くはあったと思う。
金属ゴミの日に出してしまおうかと思ったけど、もしや?と検索してみたら、「お土産キーホルダー」というジャンルで集めているコレクターがいることを知り、お譲りさせていただくことにした。
荷物を受け取ったコレクターさんのメールを見てびっくり、中には貴重なキーホルダーがあったらしく、近々行う予定の展覧会に展示したいとのこと。捨てなくて良かった…。モノの価値ってほんとに面白い。

高価なスーツはそこそこの値段がつくと思いきや、もとの値段を考えるとスーツが可哀想な査定がついた。そんなもんなのかー。リールより価値がないのか…。
思えば弟が着道楽になったのは、私がMODSを教えたから。お互いイギリスのスタイリッシュなカルチャーに憧れていたはずなのに、私だけそこから遠のいたのはちょっと反省すべきではないのか?


・・・というわけで今日、前から欲しかったダッフルコートを買った。
イギリスの有名なブランドの、一生着られるしっかりしたもの。
買ってすぐ、うれしくてトイレで着替えた。
ダッフルコートに似合うニットキャップを探すのも楽しかった。
いい服を着るとテンションが上がる。
弟も、この瞬間が楽しくてオシャレなスーツを買っていたのかもしれない。

でもね。
いくら高価なものを持っていても、死んだら楽しめないよ。
生きていてこその道楽なんだよ。

私が死んだらこのコートは高く売れると思うけど
おばあちゃんになってもクタクタになるまで着倒すつもりだから
すぐには売らないのだ。

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