2010/08/14

オアシス

やってきて、仕事して、見込まれて、
そして横取りされた。

ブリーダーが名犬に育てようと仕込んでいた子犬を
金持ちのマダムに買われたような気持ち。

詩人が同棲していた彼女を
親友の文芸評論家に寝取られたような気持ち。

東京FCのサポーターが長友選手を
セリエAに取られたような気持ち。

わかんないけど、とにかく、悔しくて泣いた。
そばにいてほしいとか別れたくないとかいう
感傷的なことでは決してなく
組織の中での無力さと守りきれなかった自分に泣いた。

そうして、砂漠にできたオアシスは
あっけなく別な場所へと移っていった。

オアシスが移ったからといって、砂漠は枯れない。
枯らさないでいられる方法を、砂漠の住人が教わったから。
笑顔と、誠実。
それがあれば、きっと枯れない。

「砂漠が美しいのはどこかに井戸をかくしてるからだよ。」

さようなら。
そして、また会おね。

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